家庭科における幼児とのふれ合い体験での中学生の学び : ケアリング教育という視点からの考察

概要

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本研究では,中学校家庭科における幼児とのふれ合い体験での学びをケアリング教育という視点から検討することを目的とする。家庭科では,日常の協働作業を通して,幼児との関係性の学びを展開できる。本研究では,中学生が幼児と一緒に遊ぶという体験の後に,調理実習という協働の営みへと展開するなかで関係性を深めていくような実践に取り組んだ。体験後の中学生へのインタビューのなかで,「ケアするひと」として幼児を受け容れていく過程が示された。中学生は,まず,幼児の世界に入っていき,幼児と自分との間の差異の中の同一性に気づく段階を経て,さらに幼児の個性を認めた上で,表情を読み取り,感情や要望を理解しようとする段階へ進んでいくことが,彼らの語りを通して明らかにされた。また,幼児が「ケアされるひと」として応えるという関係性のなかで,中学生自身が喜びを感じ,これらの過程における内的変化としての自らの成長を自覚していることを読み解くことができた。この互恵的な関係性こそが,ケアリング関係だと考える。
日本教科教育学会の論文
2009-06-30