口腔の各種上皮組織と上皮性病変のサイトケラチンの発現性

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口腔組織を構成している上皮組織(口腔粘膜上皮、唾液腺上皮、歯原性上皮)、および唾液腺上皮や歯原性上皮から発症する腫瘍ならびに嚢胞におけるサイトケラチン(pan-CK、CK7、CK8、CK10、CK13、CK14、CK18およびCK19)の発現を免疫組織化学的に検索した結果、CK8、CK14およびCK19は正常上皮、腫瘍実質、嚢胞の裏装上皮のすべてに発現した。しかし、CK7は歯原性上皮と歯原性腫瘍および歯原性嚢胞に発現がなく、それ以外のすべての正常および病変上皮はこれを発現した。CK10は一部の口腔粘膜上皮の角化層付近とglandular odontogenic cyst(GOC)に発現するものがみられた以外はすべて陰性であった。また、CK18も歯原性上皮の一部に極めて弱い発現性を示す例があった。しかし、GOCは例外的に強く発現した。GOCは今回検出の対象としたすべてのサイトケラチンを発現し、他の病変と比べてかなり特殊な病変とみなすことができた。組織学的に、このGOCと類似性の高い顎中心性粘表皮癌は、CK18が非発現であるほかはGOCと同様の発現性を示した。ムチカルミン染色では、正常唾液腺上皮と唾液腺腫瘍に染色陽性を示し、同時にGOCの裏装上皮にも陽性を示した。これらの所見から、口腔を構成する上皮細胞は、すべてがCK8とCK14を基本的な細胞骨格としていこと、その他のサイトケラチンは上皮の種類によって質的(種類)あるいは量的(発現の強さ)に差異を示し、これは分化の違いを反映しているものと考えられた。また、サイトケラチン発現性とムチカルミン染色性から、GOCは粘表皮癌と近縁の病変、あるいは前駆病変の可能性であることも示唆された。
2009-10-24

口腔の各種上皮組織と上皮性病変のサイトケラチンの発現性

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