山形県のブナ林における豊凶予測手法の適用と改良の可能性
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概要
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ブナの豊凶を予測する手法はすでに北海道で開発されているが,これによると豊作となるには当年開花数(雌花)が500個/m^2以上で,かつ,その前年比が20以上であることが必要とされている。しかし,この条件が北海道以外でも適用可能かどうかは検証されていない。本研究では山形県のブナ11林分において5年間の開花・結実調査を行った。シードトラップによる解析結果から,山形県では当年開花数が350個/m^2以上で,その前年比が10以上であれば豊作になる傾向があり,これらは北海道の基準よりも低い値であった。豪雪地帯の山形県では,主な種子捕食者であるブナヒメシンクイの羽化が,晩春まで林床に残る積雪により妨げられているため,少ない開花数と前年比でも虫害を免れて豊作に至るのではないかと考えられる。また,開花数が350個/m^2以上ならば,必ず前年比も10を超える関係にあったことから,山形県においては開花数を把握するだけでも豊凶を高い確率で予測できる可能性が示された。開花数は,対象とする林分で秋に枝を採取し,観察した総冬芽に対する花芽の割合から推定することができた。これによると,花芽率が35%以上の時に,翌年は豊作になると確率が高い。東北地方で独自の豊作予測手法を開発することは,人工林の広葉樹林化や野生生物管理などの地域に特異的な問題にも貢献すると期待される。
- 2009-06-25
著者
-
小山 浩正
山形大学農学部
-
松井 太郎
山形大学農学部生物環境学科
-
伊藤 聡
山形県環境科学研究センター
-
高橋 教夫
山形大学農学部生物環境学科
-
高橋 教夫
山形大学農学部
-
高橋 敦夫
山形大学大学院農学研究科
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