サワグルミ(Pterocarya rhoifolia)の種子サイズ変異に花序の小花サイズとその成熟過程が与える影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
サワグルミの種子サイズの変異が生じる要因を,特に果序内の部位(基部,中間,先端)による違いに注目して調べた。サワグルミの種子サイズ変異は大きく,種子重量の最大値と最小値の間には約18倍の開きがあり,果序内の先端の種子サイズは,中間や基部の種子に比べて有意に小さい傾向にあった。開花フェノロジーには花序の部位による違いがなかったことから,開花のタイミングは種子サイズの変異に影響を与えていないと考えられた。一方,小花重量は花序の基部で大きく,先端で小さかった。また,小花の密度は先端ほど高く,基部では低かった。このことは,後に大種子が着果する基部ほど小花間の間隔があらかじめ広いことを示しており,開花の段階で成熟時の種子サイズに応じて配置されていることを示唆している。また,花序内で小花の部分的な除去を行った結果,中間と基部では残存種子数と種子重量が増加した。しかし先端では明確なサイズの増加が見られなかったため,資源競争が種子サイズのばらつきの要因であると示すに至らなかった。以上のことから,サワグルミの果序内での種子サイズのばらつきは,開花時の小花サイズが部位により異なることが原因で生じていることが示された。
- 森林立地学会の論文
- 2008-12-25
著者
関連論文
- 山形県のブナ林における豊凶予測手法の適用と改良の可能性
- 冷凍貯蔵したブナ種子の発芽率と含水率の10年間の変化
- サワグルミ(Pterocarya rhoifolia)の種子サイズと風速のばらつきが散布距離に与える影響
- 豪雪地帯のブナ林における母樹からの距離に応じた当年生実生の発生数 : 種子捕食に対する積雪の保護効果の検証
- 赤川流域におけるニセアカシア(Robinia pseudoacacia L.)の分布拡大と埋土種子の役割
- 冬芽調査によりブナ林の2年後の凶作を予測する手法
- 冷凍貯蔵により可能になったブナ堅果の3年貯蔵
- 道南地方のスギ育種種苗10年生の成績と家系別特性
- ブナ堅果の豊凶を予測する
- スギ人工林の疎密度と林内の光環境の関係--人工林の混交林誘導のための目安として
- サワグルミ(Pterocarya rhoifolia)の種子サイズ変異に花序の小花サイズとその成熟過程が与える影響
- アオダモ果実の果皮による発芽遅延とそのメカニズム
- 多雪地における積雪環境がブナ堅果の生残と稚樹の分布に与える影響 : 堅果捕食に対する積雪の保護効果の検証
- アオダモ果実の休眠・発芽に果皮と低温湿層処理が与える効果
- 自然とヒトとの共同作品としての森林の姿(北から南から,Information)
- 豪雪地に造成されたカラマツ人工林の今後の管理--山形県庄内地方における比較的高齢な林分を事例として
- 天然林施業のツールとしての生態学(天然林施業に貢献する生態学)
- ブナ林内におけるブナ稚樹の空間分布と他樹種の樹冠との関係
- 森の芽生えの生態学, 正木隆編, 文一総合出版, 2008年3月, 258ページ, 3,360円(税込), ISBN978-4-8299-1070-2(ブックス,Information)
- 上名川演習林におけるブナ2次林の萌芽株について
- GISを用いたナラ類集団枯損被害の予測
- チシマザサ-ブナ群団分布の地理的特徴
- 発芽生物学 : 種子発芽の生理・生態・分子機構
- ブナの新しい更新技術(4)フェノロジカルギャップの発見
- ジベレリン処理によるヒノキアスナロの種子生産
- ジベレリンによるヒノキアスナロの着花促進
- 長期貯蔵のためのブナ堅果の含水率調整方法
- ブナの結実予測(林木育種事業・研究最近の取り組み)
- スギ人工林の疎密度と林内の光環境の関係 : 人工林の混交林誘導のための目安として
- 豪雪地に造成されたカラマツ人工林の今後の管理 : 山形県庄内地方における比較的高齢な林分を事例として
- 植生図からみた日本海沿岸北部における海岸域の土地利用
- 針広混交林の景観評価における混交型・混交率の影響
- 水に対する浮力実験によるニセアカシアの莢が種子の散布に与える効果の検討
- 河川域におけるニセアカシアの水平根からの根萌芽発生様式
- GISを用いた山形県朝日村におけるナラ類集団枯損の地理的特徴解析
- ブナ林の林冠層におけるヤドリギの分布パターンの特徴と鳥による種子散布の影響
- 東北地方における広葉樹資源の生産と管理の高度化への対応
- ブナ円形密度試験地における植栽密度と形質の関係(会員研究発表論文)
- 河川敷におけるニセアカシア駆除の工法別の有効性
- 林相及び地形解析におけるGISの利用について : 山形大学農学部附属上名川演習林での事例
- 山形県におけるブナ豊凶予測の検証