無我と空の心理学
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概要
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この論文は仏教の悟りの状態である"無我,や"空"の特徴を,心理学的に明らかにすることを目的とするものである。仏教の基本的考え方は,自己を含む全ての事物は,常に変化,生滅していて,永久に不変の実体はないということと,世の中の事物は,全て相互依存関係において存在するということである。したがって自己も,自己ならざるものとの間の相互依存関係に依って存在する。だからそれは,無自性(それ自らにおいて,それ自らとして,存在しない)である。しかしここで,無自性であるものが,相互依存関係を結ぶことができるかという疑問が生ずる。それができるためには,お互いに相手を引き受けるものがなければならない。それが,"依止"の概念である。それは心理学的には,"図・地関係"の,図と地の境界に相当することを明らかにした。さらに空の概念を,東洋思想の淵源をなす,テトラ・レンマに依って説明し,その特徴は,第3の両否の論理であり,その絶対的否定によって,とらわれのない,柔軟な,可塑性に富む関係形成の基礎が与えられることを明らかにした。最後にシステム論の観点から,自我,無我,そして空について若干のコメントをした。
- 駒澤大学の論文
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