学生生活の充実感について(3)(追悼 小沼正教授)
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概要
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本研究では以下のことがらが明らかになった。研究Iでは,これまでの充実感尺度を改良して新しく11因子を抽出することが出来た。そして,各因子は次のように意味づけられた。第1因子:先生とのつながり 第2因子:授業への参加 第3因子:友人関係 第4因子:無気力感(無気力感でないこと) 第5因子:学習態度 第6因子:大学への帰属意識 第7因子:サークル,授業における存在感 第8因子:目標の獲得と達成 第9因子:日々の生活における充実感 第10因子:スポーツに関する因子 第11因子:遊び中心の生活に関する因子 これら11因子で全分散の61.65%を占めているが,各因子の寄与率からみると,充実感は少数の因子で構成されるというよりも多くの因子で構成されていた。この充実感尺度での析半法による信頼性係数は,全体で0.924という高い値を得た。研究IIではまず因子ごとの得点の性差検定を行なったが,第1・2・5因子のような学業に関する因子では女性の方が,第11因子のような遊び中心の生活に関する因子では男性の方が有意に高い得点を得ていた。また,尺度合計点ででは女性の方が有意に高い得点を得た。因子得点の相関関係では多くの因子間に有意な相関関係がみられた。特に先の学業に関する因子間の相関値が高かった。また,第11因子と他の因子との相関関係は,他の因子間のそれと比べて弱いか負の関係にあり,この因子は他の因子と性格が異なると思われる。本尺度に回帰分析を実施したところ,尺度合計点と一般的な学生生活での充実感の間に有意水準に達する対応関係がみられた。因子得点とこれとの対応関係では,第3因子との対応が一番強かった。研究IIIでは,本尺度と達成動機,意欲減退,それに内的統制等の位置の関係について検討した。その結果,尺度合計点といずれとの間に有意な相関関係がみられた。これを因子ごとにみていくと,達成動機と特に関係があったものは,第3・4・8因子であり,意欲減退と特に問題となるのは第1因子であった。また,内的統制の位置と特に関係がみられたのは,第3・4・8因子であった。
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