東洋的思考転換法としての公案

概要

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本研究は東洋的な発想の転換や思考の転換を,禅の公案について考察したものである。西欧的な思考や発想の転換は,言語や概念を変化させることによってもたらされるが。東洋的,特に禅における悟りや思考の転換は,言語や概念をはなれた,主客未分化な状態つまり三昧の状態で生ずる。この状態をもたらす一つの方法として公案がある。この研究ではそのような公案の性格や機能について考察し,公案には次のようなタイプと機能があることを明らかにした。1)通常の論理的思考では解決できない課題を与えて,ステレオタイプな思考を断つ。2)叩く,鼻をねじるなど,びっくりさせるような刺激を与える事によって,其の瞬間言語や概念による思考から離れさせる。3)日常の簡単な身体の動きに従事せしめ事によって,言語や概念から構成されている思考から解放される。4)どうにもならないような状況に追いつめる事によって,通常の論理的思考から脱却させる。5)象徴的に表現することによって,概念から離脱させる。6)直接心に注意を喚起する事によって概念的思考から離脱せしめる。
駒澤大学の論文