竜ヶ崎市周辺のチョウ相,1989年 : 環境選好性
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概要
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1989年の竜ヶ崎市郊外の2.5Km-帯状センサスにより,チョウ成虫の生息環境の調査が行われた。3〜11月にかけて1旬につき2回の調査で7科44種2,496個体が目撃され,距離補正の上(補正総個体数=1,906),群集構造,種数,個体数,多様性,優占種についての生息環境による違いが報告された。以下はその結果である。1.チョウ44種の17の調査小区への補正個体数分布マトリツクスより,群分析と主成分分析を併用して,三つの生息環境(人家周辺域,森林,荒地)と四つの群集(モザイク群集,森林群集,荒地群集,人家周辺域群集)を区別した。2.アゲハを優占種とするモザイク群集9種は,人家周辺域から森林まで広い環境選好性をもっていた。3.森林には,オオチャバネセセリ>ヒメウラナミジャノメ>コチャバネセセリ>スジグロシロチョウ>イチモンジセセリ>コミスジ>サトキマダラヒカゲを優占種とする計21種を含む森林群集が成立していた。4.荒地には,キチョウ>ツバメシジミ>キタテハを優占種とする計5種を含む荒地群集が成立していた。5.耕作地および人家周辺域には,ヤマトシジミ>モンシロチョウ>アオスジアゲハが優占する計8種からなる人家周辺域群集が成立していた。6.種数,個体数,多様性,均等性のいずれも,過去7年間の平均を上回ったが,森林群集の衰退とオープンランド群集の台頭が表面化してきた。森林群集では特に森林環境で寡占化が進み,多様性値が過去8年問の最低となった。一方,オープンランド群集は前四つのいずれの指標についても過去7年間の平均を上回った。そのため群集全体としては1985年における落ち込みから4年連続で回復したといえるが,その構造は変化したといえよう。
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