竜ヶ崎市周辺のチョウ相 : 20年間の変化

概要

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1982〜2002年にかけて竜ヶ崎市郊外でチョウ群集を対象に2.5Km-帯状センサスが行われた。各年の3〜11月,1旬につき2回の調査で20年間に8科58種が目撃され,群集構造,種数,個体数,多様性,優占種について20年間の変化が報告された。以下はその結果である。1.総目撃数6個体以上のチョウ50種の20年間の年個体数分布マトリックスより,群分析と主成分分析を併用して,三つの年変化パターン(前工事期,造成化進行期,住宅建設期)と三つの群集(オープン化群集オープン化初期群集森林化群集)を区別した。2.オープン化群集は,ヤマトシジミ>イチモンジセセリ>アゲハ>モンキチョウ>ヒメアカタテハ>ウラナミシジミ>チャバネセセリ>ウラギンシジミ>スジグロシロチョウが優占する計30種からなり,調査後半ほど増加傾向にあったが,暖冬少雨の年に増加,厳冬多雨の年は減少し,その増減は気候条件により決定されている。3.オープン化初期群集は,モンシロチョウ>キチョウ>ツバメシジミ>キタテハ>アオスジアゲハ>ルリシジミ>コミスジ>コチャバネセセリ>ヒメジャノメが優占する計9種からなり,オープン化初期に特に繁栄する。4.森林化群集は,オオチャバネセセリ>サトキマダラヒカゲ>ヒメウラナミジャノメ>ヒカゲチョウ>ゴイシシジミが優占する計14種からなり,環境のオープン化により減衰していく。5.種数および個体数は,森林化群集の減少とオープン化群集の増加に相殺され,群集全体としては前10年間に定向的な変化をしめさなかったが,後10年間で森林群集は完全に衰退し,オープン化群集は種数の増加は限界となり,個体数が増加,全体として,種数は減少し,個体数はあまり変わっていない状況となった。そのため,多様性は20年間で減少傾向が明確になった。

著者

山本道也
流通経済大学経済学部

竜ヶ崎市周辺のチョウ相 : 20年間の変化

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