8.脳からみた蛋白栄養状態とうま味嗜好性との関係(<総説特集>伝統食品の科学-ルーツ、おいしさ、機能-8)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
食物摂取に関わるグルタミン酸受容体は下等な動物から高等哺乳類まで共通しており、核酸関連物質であるイノシン酸などのリボヌクレオチド類の共存により味覚(うま味)の相乗的増強が生じる。これを手がかりに索餌、摂取、咀嚼、嚥下、消化吸収、代謝調節、栄養素の消費と補充のバランス、そして体液中の各栄養素の生体恒常性の維持がはかられる。特に、蛋白質の量的、質的確保は生合成できない9種の必須アミノ酸を得る上で重要であり、動植物の組織を捕食する必要がある。動植物の蛋白質を構成する20種のアミノ酸の中でグルタミン酸は20〜40%を占め、蛋白を生合成する際の細胞の基質としても最も多く、死後の自己融解により大量のグルタミン酸が生成される。当然、核酸関連物質も共存することになる。我々は食塩、グルコース、アミノ酸、核酸関連物質の中で胃の迷走神経求心性線維が、応答を示すのはうま味物質であるグルタミン酸、そしてイノシン酸やグアニル酸のみであることを見出した。この情報は食物摂取の脳での認知を生じさせ、本格的な消化吸収と代謝調節を開始する引き金と考えられる。うま味物質が食物摂取とその後の消化吸収の担い手といえよう。
著者
関連論文
- P-075 入院高齢者に供されている給食の味噌汁のグルタミン酸濃度(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-065 施設入所高齢者に供されている給食味噌汁のうま味強度(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- うま味嗜好濃度のグルタミン酸はピロリ菌誘起胃炎を抑制する
- 4.うま味の内臓感覚を介する食欲および嗜好性の調節(摂食機能と味覚・うま味の関連-4)
- 入院高齢者に供されている給食の味噌汁のグルタミン酸濃度
- 胃粘膜内分泌細胞のソマトスタチン分泌に対するうま味物質およびアミノ酸の効果
- P-039 胃粘膜内分泌細胞のソマトスタチン分泌に対するうま味物質およびアミノ酸の効果(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- 単離胃粘膜D細胞のソマトスタチン分泌に対するアミノ酸の効果
- 8.脳からみた蛋白栄養状態とうま味嗜好性との関係(伝統食品の科学-ルーツ、おいしさ、機能-8)
- 4.うま味は生体恒常性維持の担い手 : 味覚・内臓感覚・食欲・体重調節(おいしさのシグナルと肥満(ダイエット)の科学)
- 消化管味覚受容の生理機能・薬理作用
- 食後のグルタミン酸ナトリウム摂取がデザートの摂取量に与える影響
- グルタミン酸による嗜好性条件付けにおける迷走神経の影響
- 内臓感覚の伝達物質としてのATPの可能性
- うま味物質による胃外分泌機能の調節
- 味刺激による後味の強さと唾液分泌相関
- うま味刺激による唾液分泌促進効果測定 : 第2報 濃度依存性と相乗効果による唾液分泌促進効果
- ラット無麻酔下機能的MRI (fMRI) 法を用いたうま味摂取後の脳応答の解析
- 味蕾におけるATP蓄積機構の同定
- Taster マウスと Non-taster マウスの簡便な判別法の確立
- P-050 食後のグルタミン酸ナトリウム摂取がデザートの摂取量に与える影響(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-041 グルタミン酸による嗜好性条件付けにおける迷走神経の影響(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-038 内臓感覚の伝達物質としてのATPの可能性(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-037 うま味物質による胃外分泌機能の調節(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-036 味刺激による後味の強さと唾液分泌相関(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-035 うま味刺激による唾液分泌促進効果測定 : 第2報 濃度依存性と相乗効果による唾液分泌促進効果(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-006 グルタミン酸ナトリウムの胃内投与による嗜好性の形成(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- S3-4 栄養素摂取と脳応答(シンポジウム3 食情報調節の仕組み,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- 9.味覚および内臓感覚におけるうま味シグナリングの有用性(うま味発見100周年記念公開シンポジウム-9)
- P-031 MSGの胃内投与による脳活動上昇と迷走神経の関与(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- マンガン造影MRI法:マンガンイオンを用いた新しいMRI撮像法
- W2-5 Functional MRIを用いたラット脳ニオイ応答部位の解析(匂いの神経行動学 : 基礎から応用)
- うま味受容機構と嗜好性
- 味の素株式会社中央研究所基盤研究所脳栄養科学グループ
- 視床下部によるうま味物質摂取の認識機構
- MSG嗜好性の調節におけるラット系統差および迷走神経系の関与(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- 糖尿病における食物選択と脳での認知(1998年度日本味と匂学会第32回大会)
- 脳科学シリ-ズ(19)機能的磁気共鳴画像法と高次脳機能
- Functional MRIによる各種溶液飲水行動時のラット脳活動の変化
- P-017 味蕾におけるATP蓄積機構の同定(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-033 うま味刺激による唾液分泌促進効果測定(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- P-063 高齢者のうま味感受性測定 : 壮年との比較(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- P-043. 高タンパク流動食摂取後の食後感覚に対するグルタミン酸ナトリウムの効果(ポスターセッション, 2006年度日本味と匂学会第40回大会)
- カルシウム摂取を調節する味覚受容体 : カルシウムは第6の基本味?
- リジン欠乏ラットのリジン選択摂取行動学習における味神経の役割
- リジン欠乏食摂取ラットにおける視床下部ノルエピネフリン濃度変化(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- ラットにおける食事誘導性熱産生とうま味摂取(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- P-034 ラット無麻酔下機能的MRI(fMRI)法を用いたうま味摂取後の脳応答の解析(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-042. 胃及び十二指腸の迷走神経求心路のアミノ酸感受性(ポスターセッション, 2006年度日本味と匂学会第40回大会)
- P-002 TasterマウスとNon-tasterマウスの簡便な判別法の確立(ポスターセッション,2009年度日本味と匂学会第43回大会)
- P-062 味覚受容に関わる分子に対する抗体作製(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- P-052 各種呈味物質の消化管における化学受容の特徴について(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- P-034 うま味の口腔内刺激による胃外分泌誘導の特徴(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- グルタミン酸の新しい生理機能 (第1回産学連携シンポジウム アミノ酸の新たな機能とその可能性--2008年6月2日東京大学農学部弥生講堂)
- P-066 グルタミン酸摂取時の胃粘膜セロトニンの局所クリアランス機構の存在(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- 味覚の形成と次世代への継承 : だしの文化とアミノ酸の味
- リジン欠乏ラットのジン嗜好性発現における迷走神経の役割(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- 迷走神経におけるグルタミン酸ナトリウム応答性(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- 人材育成--若手研究員を一級の企業内研究者に (特集1 鉄は熱いうちに打て!「新人・若手研究者の育て方・教育の仕方」)
- 大会講演概要 脳による食物摂取の認知と必須栄養欠乏に対する適応
- 五感の生理,病理と臨床(12)味覚の生理--うま味の生理
- P-048. 2, 3, 7, 8-四塩化ダイオキシン (TeCDD) の胎生期暴露によるラット行動発達ならびに味覚嗜好性への影響(ポスターセッション, 2006年度日本味と匂学会第40回大会)
- シンポジウム(3)食の世界 (1999年度日本味と匂学会第33回大会(10月6-8日、東京))
- 消化管におけるグルタミン酸シグナルの役割
- 味覚と嗜好性 : 栄養バランスと生体恒常性の担い手
- 1999年度 日本味と匂学会第33回大会を終えて(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- 摂食調節 : 食欲および嗜好性の脳による調節と生体恒常性との関係
- 摂食中枢のうまみ感受性ニューロンとホメオスタシス 脳による味嗜好性の調節機序と蛋白栄養状態との関わり
- 味覚と栄養 : 嗜好性の形成の仕組み
- 培養ラット腎細胞の分化・増殖に対するアクチビンの作用
- マウスにおけるジン欠乏時のリジン嗜好性発現 : 特異性と可変性
- ゴードン研究会議
- 味覚の形成とその発達 : 味覚と嗜好性との関係
- 嗜好性と栄養
- P-036 うま味刺激による唾液分泌促進効果測定 : 第3報 味覚刺激方法の違いによる睡液分泌への影響(ポスターセッション,2010年度日本味と匂学会第44回大会)
- P-004 発生期における味覚受容体の発現解析(ポスターセッション,2010年度日本味と匂学会第44回大会)
- P-037 内臓感覚における伝達因子セロトニンの応答特性(ポスターセッション,2010年度日本味と匂学会第44回大会)
- 味覚と消化 : 脳による神経性および液性調節
- 「うま味」物質でメタボリックシンドローム、肥満症を抑える--脳内での栄養素の情報処理のしくみから探る「うま味」物質の効果と秘めた可能性
- P-038 ^C酢酸ナトリウム呼気試験法を用いた流動食のマウス胃排出測定法の検証(ポスターセッション,2011年度日本味と匂学会第45回大会)
- P-007 T1R2-LacZマウスを用いた消化管甘味受容体発現細胞の性質決定(ポスターセッション,2011年度日本味と匂学会第45回大会)
- P-054 甘味摂取による摂食調節機構の解析(ポスターセッション,2011年度日本味と匂学会第45回大会)
- P-076 うま味刺激による唾液分泌促進効果測定 : 第4報 繰り返し味覚刺激による唾液分泌への影響(ポスターセッション,2011年度日本味と匂学会第45回大会)
- 食後の消化吸収と恒常性に関わる脳腸連関の仕組み : グルタミン酸シグナリングの役割(特別セミナー,第54回日本平滑筋学会総会)
- 何故今、低栄養が問題か?
- 日本に居る外国人に「日本語が上手ですね」は禁句です(海外こぼれ話)
- うま味、日本人の味からヒトの基本味に!