プリオン病研究における最近の進歩 : 診断ツールおよび細胞培養系モデル

概要

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動物がプリオンに感染すると,異常型プリオン蛋白質(PrP^<Sc>)が正常型プリオンタンパク質(PrP^CをPrP^<Sc>に変換する.この変換により生じるPrP^<Sc>の蓄積とPrP^Cの欠乏の両方がプリオン病の発病に重要であることが明らかになりつつある.現在,プリオン病診断法のほとんどはPrP^<Sc>の検出を指標にしており,さまざまなサンプルに適用可能で高感度かつ正確にPrP^<Sc>を検出できる方法が求められている.この目標へ向け,異常折りたたみ蛋白反復増幅法(PMCA),構造依存性免疫検査法(CDI),解離促進ランタニド蛍光免疫検査法(DELFIA),キャピラリーゲル電気泳動法,蛍光相関分光法(FCS),フローマイクロビーズ免疫検査法等が開発されている.加えて,プリオン感受性細胞モデルもプリオン感染メカニズムの解析についてのみならず,診断ツールとしても利用されつつある.プリオンタンパク質遺伝子欠損神経細胞株は,PrP^C機能解析に有用であることはすでに知られているが,プリオン感染メカニズムの解析への有用性も期待される.本総説では,プリオン病研究における最近の進歩を診断ツールおよび細胞培養系モデルを中心に紹介する.
社団法人日本獣医学会の論文
2007-04-25