微細藻類からの澱粉粒の回収について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
微細藻Chlorella vulgaris Al-1y-3(11)はぶどう糖培地で生育させると細胞外に多量の澱粉粒を排出する.ところが通常の培養条件では細胞外に排出する澱粉粒は生成したものの約半分に過ぎない.今回は, 微細藻にぶどう糖から澱粉をつくらせ, 澱粉粒を回収する方法について検討した.まず, 細胞へのぶどう糖のとり込み速度は前培養の明・暗条件に影響を受けることが確かめられた.とり込まれたぶどう糖の細胞内分布をみると明・暗条件とも細胞画分の還元糖は対消費糖約40%であったが, 澱粉粒としての回収は明条件で対消費糖23.9%, 対生成澱粉58.7%, 暗条件でそれぞれ36.6%, 85.8%と高くなっている.澱粉粒の回収で自然の排出は普通は対生成澱粉50%を大きくは越えないので, 排出促進の方法を検討した.また, 排出された澱粉粒を回収するトルオール法の検討も併せて行った.この結果, 有効な微細藻の澱粉粒の回収方法としては, 培養を10倍以上に濃縮した懸濁液とし, 10kHz20〜30分の音波破砕し, 水で10倍に稀釈したsonicateにその1/5量のトルオールを加えて細胞残渣を除き, くり返した後, 水層の澱粉粒を遠沈して集め, アルコールで洗浄・乾燥させて澱粉粒として対生成澱粉の80%を回収することが出来た.とくに, トルオール法は細胞残渣の除去だけでなく, トルオール・水の界面に破砕されなかった細胞を吸着し, これらの除去を容易にすることで有効であった.また, 同処理をChlamydomonas, Scenedesmusにも適用し, 結果を比較した.
- 鹿児島大学の論文
- 1982-03-19
著者
-
大垣 昌弘
京都パストゥール研
-
滑川 修吾
応用微生物学研究室
-
田邊 幾之助
応用微生物学研究室
-
佐藤(二階堂) 和代
応用微生物学研究室
-
小林 武一
応用微生物学研究室
-
大垣 昌弘
大阪府立大学総合科学部
-
辰巳 忠次
摂南大学経営工学科
-
渡邊 篤
成城大学理学部
-
大垣 昌弘
大阪府立大学
-
小林 武一
鹿児島大 農
-
田邊 幾之助
鹿大, 農
関連論文
- クロレラ・ブルガリスE-25の特性とチェルノブイリ原発事故処理作業員に対する健康効果
- Chlorella vulgarisの電子顕微鏡学的研究
- 海水活性汚泥の微生物相, とくに従来法による常在微生物相について
- 微細藻バイオマスから凝集沈殿法によって活性汚泥をつくる試み : III.活性フロックの微細藻フロラ
- 微細藻類からの澱粉粒の回収について
- 藻類の粗繊維分画の利用について
- 高酸度焼酎醪における乳酸菌の螢光抗体法による検出について
- 活性汚泥法処理水およびメタン発酵脱離液中のビタミンB_の定量について
- 旧式焼酎の高酸度醪のモデル実験について
- 旧式焼酎酒母・醪から分離した乳酸菌の生態学的性質について
- 旧式焼酎(米麹生白糠仕込)醸造における酒母・醪中の乳酸菌について
- 甘藷焼酎醸造における酒母, 醪中の乳酸菌について
- 彦根市におけるマラリア防遏と殺虫剤抵抗性昆虫の発達
- 海水活性汚泥法における環境制限因子としての界面活性剤の使用について
- 旧式焼酎(米麹米/生白糠仕込)蒸溜廃液の海水活性汚泥による連続処理
- 209 海水活性汚泥による旧式焼酎蒸溜廃液の連続処理
- 微細藻バイオマスから凝集沈殿法によって活性汚泥をつくる試み : IV.活性フロック中の原生動物について
- 各種処理条件下におかれた海水活性汚泥の処理能と微生物相について
- 海水活性汚泥中, 微生物の局在性の検討
- 海水活性汚泥の微生物相, とくにフロックの構造性について
- 温度的性質を標的とする焼酎こうぼの改良 : I.焼酎こうぼおよびタプイこうぼのプロトプラスト形成について
- 旧式焼酎醸造過程におけるジアセチルの生成について
- 海水活性汚泥の嫌気処理について
- 猿酒について
- 脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット (SHRSP) の血圧, 脳卒中病変, 血管病変および寿命におよぼすChlorellaの影響
- カルボンの微生物転換(英文)
- Evaluation of Radioprotective Action of a Mutant (E-25) Form of Chiorella vulgaris in Mice
- 単細胞緑藻類の他養培養における生成乳酸の旋光性と乳酸脱水素酵素について
- 単細胞緑藻類の他養培養における有機酸の生成について