旧式焼酎酒母・醪から分離した乳酸菌の生態学的性質について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
旧式焼酎酒母・醪から分離した乳酸菌について, 高酸度醪の原因を究明するため, それらの生態学的性質を明らかにしたが, 得られた知見は次のとうりである.1.温度的性質 : 焼酎こうぼおよびL.brevisは40℃で生育できなくなるが, L.sake群はいずれも40℃でよく生育することが認められた.2.各種の乳酸菌用培地での生育 : 清酒乳酸菌の培地である麦芽エキス肉汁培地での生育は麹汁肉汁培地のそれと比較して悪く, とくに, L.brevisは麹汁に対する生育依存性が高い.ビタミンの要求性を見ると, L.sake群は生育にパントテン酸カルシウム, 葉酸, ナイアシンおよびビオチンを要求する.一方, L.brevisはパントテン酸カルシウム, パラアミノ安息香酸およびナイアシンを要求し, ビオチン, メバロン酸, ピリドキサールおよび葉酸で生育が促進される.3.生育pH域 : L.sake群の多くは初発pHが4.2から6.8までよく生育し, あるものは3.8でも生育が認められた.一方, L.brevisは4.2から6.2の狭い範囲でしか生育しなかった.4.その他の生態学的性質 : 乳酸菌のクエン酸分解能, 抗こうぼ性因子の産生, および焼酎こうぼとの凝集性を検討したが, いずれも陰性であった.以上の結果をもとに, 焼酎醸造での高酸度醪発生の機構が検討された.これらの研究と並行して, 使用菌株の分類学的な疑問点のあるL.sake群の細胞壁ペプチドグリカンのユニットペプチドのアミノ酸組成を検討し, L.sake群はいずれもL-lys←D-aspの架橋型であることを明らかにした.これは, L.sake群がL.plantarumとは種的に一線を画していることを示している.
- 1984-03-15
著者
関連論文
- Chlorella vulgarisの電子顕微鏡学的研究
- 海水活性汚泥の微生物相, とくに従来法による常在微生物相について
- 微細藻バイオマスから凝集沈殿法によって活性汚泥をつくる試み : III.活性フロックの微細藻フロラ
- 微細藻類からの澱粉粒の回収について
- 藻類の粗繊維分画の利用について
- 高酸度焼酎醪における乳酸菌の螢光抗体法による検出について
- 活性汚泥法処理水およびメタン発酵脱離液中のビタミンB_の定量について
- 旧式焼酎の高酸度醪のモデル実験について
- 旧式焼酎酒母・醪から分離した乳酸菌の生態学的性質について
- 旧式焼酎(米麹生白糠仕込)醸造における酒母・醪中の乳酸菌について
- 甘藷焼酎醸造における酒母, 醪中の乳酸菌について
- 海水活性汚泥法における環境制限因子としての界面活性剤の使用について
- 旧式焼酎(米麹米/生白糠仕込)蒸溜廃液の海水活性汚泥による連続処理
- 209 海水活性汚泥による旧式焼酎蒸溜廃液の連続処理
- 微細藻バイオマスから凝集沈殿法によって活性汚泥をつくる試み : IV.活性フロック中の原生動物について
- 各種処理条件下におかれた海水活性汚泥の処理能と微生物相について
- 海水活性汚泥中, 微生物の局在性の検討
- 海水活性汚泥の微生物相, とくにフロックの構造性について
- 温度的性質を標的とする焼酎こうぼの改良 : I.焼酎こうぼおよびタプイこうぼのプロトプラスト形成について
- 旧式焼酎醸造過程におけるジアセチルの生成について
- 海水活性汚泥の嫌気処理について
- 猿酒について