時間分解蛍光免疫測定法によるニホンジカ糞中プロジェステロン測定(臨床繁殖学)
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概要
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時間分解蛍光免疫測定法(TR-FIA)によって,ニホンジカの糞中プロジェステロン濃度を測定した.ジエチルエーテルを用いて2回抽出を行うことによって,糞中プロジェステロンの約60%が抽出され,この抽出物を段階希釈して得られたTR-FIAの解離曲線は,標準曲線と良く平行していた.同時に採取した16検体の血漿と糞のプロジェステロン値は,相関係数r=0.829の相関を示したが,その値を比較すると,糞中濃度は血漿中の約100倍であった.繁殖季節のニホンジカ糞中プロジェステロン濃度は周期的に変動し,発情間期で高く,発情発現後1-2日で最低値を示した.発情行動と糞中濃度変化のタイムラグは,肝臓における代謝と胆汁の消化管通過に要する時間に起因するものと思われた.しかし,糞中プロジェステロン濃度の下降には,発情行動や粘液漏出が伴わない例もあり,この原因として発情見逃しと共に無発情排卵が存在することが示唆された.妊娠シカの糞中プロジェステロン濃度は黄体期よりも更に上昇し,妊娠末期まで高値を持続した.以上の成績から,ニホンジカにおける糞中プロジェステロン濃度は血中濃度と相関性が認められることから,その測定は非侵襲的な黄体機能モニタリング手法として適用可能であることが示唆された.また,ニホンジカ糞中プロジェステロン測定が,TR-FIAによって簡便に実施できることが示された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2002-07-25
著者
-
高橋 敏雄
農林水産省動物医薬品検査所
-
高橋 透
農業生物資源研究所生殖機構研究ユニット
-
高橋 敏雄
動物用抗菌剤研究会
-
高橋 透
(独)農業生物資源研究所
-
濱仲 早苗
(独)農業生物資源研究所
-
今井 敬
(独)農業生物資源研究所
-
橋爪 一善
(独)農業生物資源研究所
-
橋爪 一善
岩手大学農学部獣医生理学
-
橋爪 一善
岐阜大学大学院連合獣医学研究科:岩手大学農学部獣医学科基礎獣医学講座
-
橋爪 一善
独立行政法人農業生物資源研究所発生分化研究グループ生殖再生研究チーム
-
今井 敬
家畜改良センター技術部
-
Hashizume K
National Inst. Animal Ind. Ibaraki
-
Hashizume Kazuyoshi
Laboratory Of Veterinary Physiology Department Of Veterinary Medicine Iwate University
-
Hashizume Kazuyoshi
Laboratory Of Veterinary Physiology Department Of Veterinary Medicine Faculty Of Agriculture Iwate U
-
Hashizume Kazuyoshi
Laboratory of Veterinary Physiology, Department of Veterinary Medicine, Iwate University
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