着床に伴うウシ子宮内膜細胞外マトリックスの特異的動態

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子宮内膜の細胞外マトリックスの改変は,着床および胎盤形成のために重要な過程であり,げっ歯類およびヒトなどでは既に数多くの報告がある.しかし,着床に伴うウシ子宮内膜の細胞外マトリックスの改変については,殆ど報告がなく明らかでない点が多い.著者らは,妊娠0〜30日のウシ子宮内膜に対応する4つの細胞外マトリックス,即ちウシIおよびIV型コラーゲン,ラミニンおよびフィブロネクチンの動態を蛍光抗体法によって検索した.妊娠14日目では,I型コラーゲンおよびフィブロネクチンは子宮内膜間質に,IV型コラーゲンおよびラミニンは,子宮上皮および毛細血管の基底膜に発現しており,それらの発現は発情周期の状態となんら変わらなかった.妊娠14日では,I型コラーゲン,フィブロネクチンおよびラミニンの発現が減少し,I型コラーゲン線維は,発情周期に認められた状態に比べ細かった.着床の始まる妊娠24日では,I型およびIV型コラーゲン,ラミニンおよびフィブロネクチンの発現は著しく減少し,ほとんど認められなくなった.妊娠30日では,子宮内膜はクリプト構造を形成し,I型およびIV型コラーゲン,ラミニンおよびフィブロネクチンの発現は増加した.以上の結果から,ウシ子宮内膜の細胞外マトリックスの状態は,着床および胎盤形成に伴う組織構造変化を反映して変化し,妊娠成立に伴って大きく変化することが明らかになった.
社団法人日本獣医学会の論文
2002-03-25

着床に伴うウシ子宮内膜細胞外マトリックスの特異的動態

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