時間分解蛍光免疫測定法による牛の血漿中エストラジオール17β濃度の直接判定(臨床繁殖学)

概要

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牛血漿中のエストラジオール17β(E_2)は,霊長類やげっ歯類に比較して濃度水準が低く,測定には試料の抽出・精製が必須とされてきた.本研究では,サンプルを抽出・精製せずに直接測定する手法の開発を目的として,時間分解蛍光免疫測定法について検討した.測定には市販の測定試薬を使用し,インキュベーション法を改変することによって血漿100μlを用いた直接測定が可能になった.この測定系の最小検出限界は0.0625pg/wellであり,血漿100μlを試料とした場合は0.625pg/mlが試料中の最小検出限界であった.標準曲線の50%置換量は1.9pg/wellであった.E_2濃度が既知の牛血漿に種々の濃度のE_2を添加して行った添加・回収試験から計算された回収率は84.2%であった.また,測定系の測定内および測定間変動係数は,それぞれ10.2および17.4%であった.同一サンプルを直接測定と抽出測定して得られた測定値は良好な相関を示した(r=0.939).時間分解蛍光免疫測定による牛血漿中E_2の直接測定法は,感度や再現性も良好で,測定に放射性物質を使用せず,また試料の抽出・精製も不要なことから,臨床繁殖学領域における内分泌診断法に適用可能であることが示された.
社団法人日本獣医学会の論文
2004-03-25