放牧地の草種構成と種多様性に及ぼす異なる放牧管理の影響 : 北上山系に同時に入植した酪農家2戸の放牧地の植生

概要

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草種構成の適正維持および雑草防除は牧草地の生産力を持続的に維持する上で極めて重要である。草種構成の変化に関する研究は, 複雑に相互作用する生物群集に関する研究と捉えることができる。北上山系開発によって造成され, 酪農団地に同時に隣接して入植し, 土地利用型酪農経営を行う酪農家2戸の放牧草地を調査した。この2戸の酪農家の草地には, 造成当時, 同じ牧草種子が播種されたが, その後は約12年間の異なる放牧管理のために, 草種構成や種多様性がお互いに大きく異なっていた。放牧に強く依存した粗放的な管理を行うA牧場では, 常に強い採食圧にさらされ, 5cm以下の草高に維持されており競草型草種主体の草地に変化していた。こまめな輪換放牧と施肥管理を行うB牧場では, 10から30cmの草高となり, 播種当時の草種構成が維持されていた。種の多様度の尺度の一つであるShannon関数(H')はB牧場で高く, 草種構成の安定性の高さとの関係が示唆された。酪農家の経営方式の違いが草地の草種構成や種多様性の違いに反映したものと判断した。
日本草地学会の論文
1999-04-30