放牧地で形成される裸地がミノボロスゲ(Carex albata Boott)種子の休眠解除に及ぼす影響
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概要
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放牧地における裸地形成がミノポロスゲ(Carex albata Boott)の侵入に及ぼす影響について,ミノボロスゲ種子の休眠解除条件との関連から現地検討を実施した。1998年9月から10月までの1ヶ月間,放牧草地に,以下の3つの処理区を設置した:(1)地上部植生とりター層を除去した裸地区,(2)地上部植生を除去し,地表面をリターで被覆したりター被覆区,(3)地上部とリター層ともそのままとした無処理の対照区。これら3つの処理区で,埋土種子によるミノボロスゲと他植物の発芽実年数,土壌温度および地表面の光量予密度を測定した。ミノポロスゲは裸地区でのみ発芽した。一万,エゾノギシギシはリター被覆区でも若干の発芽が生じ,さらにハルガヤとレッドトップはリター被覆区で裸地区と同程度の発芽が認められた。また,ハルガヤは対照区でも多くの発芽が認められた。すなわち,ミノボロスゲ種子の休眠解除は裸地区でしか生じないことが明らかとなった。裸地区では,他処理区と比較して地表面の温度の曰較差が大きく,また光量子密度が著しく高かった。裸地区では,ミノボロスゲ種子の休眠解除に必要な光と変温の両条件が満たされたことにより,ミノボロスゲ埋土種子の発芽が起こったと考えられる。放牧地へのミノボロスゲの侵入・定着において,地表面の露出した裸地が種子の休眠を解除させる環境を提供していることが明らかとなった。
- 日本草地学会の論文
- 1999-10-31
著者
-
菅原 和夫
東北大学大学院農学研究科環境修復生態学・陸圏修復生態学
-
西脇 亜也
宮崎大学農学部
-
渡辺 也恭
北海道農業研究センター
-
菅原 和夫
東北大学大学院農学研究科
-
渡辺 也恭
姫路工業大学自然環境科学研究所
-
渡辺 也恭
東北大学大学院農学研究科
-
渡辺 也恭
(現)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター
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