草地における埋土種子集団 : 人工草地への侵入種, ミノボロスゲ(Carex albata Boott)の永続的埋土種子集団の実態

概要

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放牧利用人工草地に侵入・優占化するミノボロスゲの埋土種子集団の実態について調査を行った。ミノボロスゲ種子が散布される直前期に, 植生や管理法の異なる草地から土壌を採取し, その土壌中の埋土種子を発芽させ, 発芽した実生数を埋土種子数として測定した。調査したすべての草地でミノボロスゲ埋土種子が見つけられた。すなわち, ミノボロスゲは草地で永続的な埋土種子集団を形成することが明らかとなった。ミノボロスゲの埋土種子密度はその被度の増加と共に高くなった。特に, ミノボロスゲの被度の高かった人工草地では, その埋土種子密度は78, 580粒/m^2と, 全草種中最も高い密度であった。ミノボロスゲは散布のための特別な器官をもたない種子を生産することから, その被度の高い草地土壌へ大量に種子が蓄積されたと考えられる。また, ミノボロスゲ植生のない草地への種子の蓄積は, 家畜による種子散布などの関与が推測される。草地で永続的な埋土種子集団を形跡するミノボロスゲ種子は, 攪乱頻度が高い放牧利用人工草地などへの侵入・優占に, 有利であると考えられた。
日本草地学会の論文
2001-10-15