開花時期の異なるチガヤ(Imperata cylindrica (L.) Beauv.)2タイプの遺伝的差異
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概要
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日本においてチガヤは,沖縄から北海道にかけて分布し,様々な生育地に対する強い適応性を示すこと,また,地域的な生態型だけでなく,同じ地域における複数の生態型が存在することが知られている。最近,我々は宮崎平野において開花時期の異なるチガヤ2タイプを確認した。本研究では,アイソザイム分析により,遺伝的に隔離された2分類群が同じ地域に存在するか否かについて検討した。開花時期は2タイプ間で全く重ならなかった。Got遺伝子座において,Got^bはE型(宮崎E型,濃尾E型)のみ,Got^aはC型(宮崎C型,濃尾C型,宮城C型,宮古島C型)のみで観察された。6集団のD_<ST>は0.254であったのに対し,E型2集団のD_<ST>は0.005,C型のD_<ST>は0.007と低い値を示した。Neiの遺伝的距離は,タイプ内の地域集団間では0.001から0.020であったのに対し,タイプ間では1.29と高い値を示した。これらの結果から,日本におけるチガヤには,同じ地域に存在しながら,開花時期の違いにより遺伝的に隔離された2分類群が存在することが明らかとなった。我々の結果は,無毛タイプをImperata cylindrica var. cylindrica (ケナシチガヤ),有毛タイプをImperata cylindrica var. koenigii (フシゲチガヤ)とする見解を支持する。
- 日本草地学会の論文
- 2004-04-15
著者
-
西脇 亜也
宮崎大学農学部
-
西脇 亜也
東北大・農
-
水口 亜樹
農業環境技術研究所生物環境安全部
-
小山田 正幸
宮崎大学農学部
-
杉本 安寛
宮崎大学農学部
-
小山田 正幸
宮崎大農
-
水口 亜樹
宮崎大学農学部
-
西脇 亜也
宮崎大 農
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