光通信における ARQ 方式の評価とその性能改善

概要

論文の詳細を見る
高信頼かつ大容量の情報伝送が可能である光通信方式は,高速ディジタル通信の担い手としてその重要性を増しつつある.しかしながら,光通信方式においても,伝送速度の高速化や中継距離の増加に伴い,ビット誤り率特性の劣化は不可避であり,何らかの誤り制御技術が必要になると考えられる.本論文では,誤り制御の1方式であるARQ(Automatic Repeat Request)方式の光通信への適用について検討を行っている.まず,光通信路において生じる誤りはシンボル'1'がシンボル'0'になることはあっても'0'が'1'になることはないことに着目し,このような通信路におけるすべての誤りを検出可能なm-out-of-n符号を用いたARQ方式を提案し,スループットと1光子当りの伝送情報量による性能評価を行っている.その結果,各種のARQ方式の中で,実用的にはSR(Selective-Repeat)方式とGBN(Go-Back-N)方式を組み合わせたSR+GBN方式が最適であることを明らかにしている.次に,光通信路の特性を利用して,符号語の再送回路を減少させる新しい誤り検出方式を提案し,これをSR+GBN方式に組み合わせることで,より優れたスループットが得られることを明らかにしている.
1993-12-25