離散時間周波数解析に基づく線形時変フィルタリング

概要

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小文では,離散時間周波数解析手法に基づく線形時変フィルタリング手法を提案する.提案手法では,その時間周波数分布の表すエネルギーが,与えられた時刻・周波数に偏在する直交信号族をあらかじめ算出する.この直交信号族は,与えられた時刻・周波数と時間周波数分布の自由度を表現する核関数とによって決定する行列の固有ベクトルとして算出可能であり,エネルギーの偏在する割合は対応する固有値として与えられることが示される.次に入力信号の,直交信号族で張られる部分空間への直交射影を計算して,与えられた時刻・周波数にエネルギーが偏在した成分を抽出する.提案手法は従来の離散時間版Wigner分布に基づく線形時変フィルタリング[Hlawatsch&Kozek 1994]を,[Jeong&Williams 1992]による離散時間周波数分布一般に拡張したものであり,帯域幅πに制限された信号を要求する,従来手法の問題点を克服している.また,連続時間Wigner分布同上の内積が信号同士の内積の絶対値の2乗に等しいことを示し信号検出に用いられるMoyal's formulaについても,離散時間周波数分布一般へと拡張している.
2003-01-09