発達期の網膜における興奮波による外側膝状体の眼特異層形成モデル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脳内の神経回路の形成には, 神経活動を利用していることが知られている.この神経回路の形成の生理学的現象の例として, 発達期の外側膝状体において, 右眼からの神経投射と左眼からの神経投射が層構造(眼特異層)を成して分離されていく現象がある.眼特異層の形成には, 網膜の神経節細胞層での神経活動が必要であり, その神経節細胞層での活動電位は時空間的に波のように伝播する(興奮波).本研究では, 外側膝状体での眼特異層の形成過程を説明し得る数理モデルを提案した.この数理モデルでシミュレーションを行なったところ, 興奮波の伝播速度が生理学的データに即した場合, 眼特異層は形成されたが, それ以外では形成されなかった.この結果から, 神経節細胞層での興奮波の伝播速度が, 外側膝状体での神経回路の形成に重要な役割を果たしていることが示唆された.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2001-12-14
著者
-
中村 清彦
東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻
-
橋本 直紀
東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻
-
中村 清彦
東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻
-
中村 清彦
東京工業大学
関連論文
- 数理的モデルを用いたタマリンの道具使用行動の解析
- ヒト顔認知課題における短期記憶の容量限界
- サルの道具使用行動獲得の強化学習モデル
- 側抑制とシナプス可塑性を用いた多安定両眼視野闘争のモデル(バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング)
- 不確実な報酬の予測に対するドーパミン細胞活動の解析
- 外側膝状体における眼特異層形成過程のモデル解析(バイオサイバネティックス, ニューロコンピューティング)
- プロスペクト理論でのヒトの価値関数の進化による獲得モデル(脳・ヒューマンモデリング2, 脳・ヒューマンモデリング, 一般)
- シナプス可塑性を用いた多安定両眼視野闘争のモデル化
- シナプス可塑性を用いた多安定両眼視野闘争のモデル化
- 情報伝達効率に基づく概念形成機構の解析
- カテゴリ分類戦略による汎化パターンの解析
- 外側膝状体における層構造形成機構のモデル解析
- 両眼視野闘争における知覚振動のメカニズム
- チンパンジーの種割り行動を記述した数理モデル
- メンタルローテーションの脳内機構の運動残効による解析
- 遅延サッカード課題における確率的目標位置手がかり提示による反応時間の変化
- 音刺激とFinger tappingの同期化機構の小脳モデル
- 両眼視野闘争を説明する神経回路モデル
- 発達期の網膜における興奮波による外側膝状体の眼特異層形成モデル
- 短期的シナプス可塑性を組み込んだ神経回路網による時間間隔弁別機構の解析
- 環境の確率的変化に対する予測の神経機構の解明
- 前頭前野錐体細胞におけるシナプス入力位置に依存した長期可塑性へのドーパミン効果
- 雑音中からの連続音知覚における繰り返し学習の効果
- 単一細胞モデルによる発火タイミングの再現性の解析
- スパイク干渉による神経細胞の発火時刻の解析
- 第一次運動野のII/III層の水平結合の可塑性による同期学習モデル
- スパイクタイミングによる脳内情報処理の可能性 : スパイク発生の再現性
- 数理的モデルを用いたタマリンの道具使用行動の解析
- 共変調マスキング解除の神経回路モデル
- 色一形状情報統合の神経機構の学習による形成過程のモデル解析
- 心理実験とモデル解析による確率的予測に基づくサッカードの脳内機構の解明
- 発火潜時競争機構のサル側頭葉細胞応答による検証
- 単位立方体により構成される物体における一般的視点の原理の検証
- 人の色 : 単語命名応答における並列神経処理過程
- 細胞内Ca^変動を導入した概日リズムの詳細モデリング
- スパースな非対称結合をもつリカレントニューラルネットワークにおける確率的状態遷移の解析
- 内発的動機づけに及ぼす目標設定および言語的フィードバックの影響
- スパースな非対称結合をもつリカレントニューラルネットワークにおける確率的状態遷移の解析