カオス理論を用いた視覚事象関連電位の定量的解析

概要

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脳の活動は常に状態が変化しているので, 事象関連電位を計測するにあたって, 繰り返し刺激によって得られた加算平均波形の計測だけでは内因性の状態を詳細に分析できているとは思えない. そこで, 視覚刺激によって誘発された単一の事象関連電位に対して, カオス理論を用いてフラクタル次元で定量化することを試みた. 部位Czにおけるフラクタル次元は, 2種類のランドルト環をオドボール課題として用いた場合, Target (出現頻度10%)刺激時で3.94±1.23(n=176), Non-Target刺激時で4.22±1.31(n=1466), 10種類の顔写真を用いた場合, Target刺激時で3.82±0.97(n=175), Non-Target刺激時で4.30±1.07(n=1472)となり, Target刺激時のフラクタル次元が有意(P<0.001)に低下したことから, 単一事象関連電位の解析に有効な手法になり得ることが示唆された.
社団法人電子情報通信学会の論文
1997-01-25