純音刺激によるヒト脳-筋コヒーレンスヘの干渉作用

概要

論文の詳細を見る
われわれは等尺性収縮運動時における脳-筋コヒーレンスが,外部感覚刺激によりどのような影響を受けるかを調べている.本研究では,純音刺激による影響を調べるため,純音刺激として3種類の刺激を用いてそれぞれの刺激について実験を行い,8人の健常者(右利き男性,21〜24歳)から記録した脳波と筋電図との相関を調べるためにコヒーレンス解析した.実験は,外部刺激を与えないで等尺性収縮運動を行う運動課題をコントロールとし,純音刺激を無視しながら等尺性収縮運動を行う条件(刺激無視条件),純音刺激を数えながら等尺性収縮運動を行う条件(刺激意識条件)からなり,コントロールと各条件間でのコヒーレンス最大値と周波数の比較を行うことで,純音刺激による影響を考察した.解析の結果,いずれの条件においてもコヒーレンス最大値に有意な変化はなく,コヒーレンス最大値の見られた周波数帯域はほぼβ波帯域(約13〜30Hz)であり,脳部位(C3)にも変化はなかった.また,脳波と筋電図のパワースペクトルにも有意な変化は見られなかった.一般的に,脳-筋コヒーレンスは,運動課題を持続しようとする認知努力や自発的な注意を反映していると考えられている.このことから,本研究で用いた純音刺激という単純な聴覚刺激では,認知努力への影響はなく,脳-筋コヒーレンスヘの干渉は起こらないことが示唆された.
2010-01-21

純音刺激によるヒト脳-筋コヒーレンスヘの干渉作用

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク