表面筋電図とマイクロフォンによる嚥下協調運動の検討 : 若年および高齢健常者,運動失調症患者における相違

概要

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正常な嚥下は種々の筋肉が決められたタイミングで嚥下協調運動することによりなされる.しかし,高齢者や運動失調症になると筋肉の協調運動がうまく行なわれず,食塊や唾液が誤って気管に流入する問題が起こる.そこでわれわれは,嚥下運動を非侵襲的かつ簡便に評価できる表面筋電図とマイクロフォンを用いた解析の検討を行なっている.今回,加齢や運動失調症が嚥下協調運動にどのような影響を及ぼすかを検討した.被験者は,若年健常者53名,高齢健常者72名,運動失調症患者8名,ここでマイクロフォン波形のピーク点を基準とし,各筋肉の筋活動開始点と筋活動終了点との持続時間から協調運動のパターンを分類した.その結果,筋活動終了パターンにおいて,若年健常群と高齢健常群では最初に上顎筋が筋活動を終了し,次に下顎筋が終了するパターンとなった.しかし,嚥下障害リスク群では最初に下顎筋が終了し,次に上顎筋が終了するパターンとなることがわかった.このことから,嚥下障害リスク群において誤嚥する危険性があることが示唆された.
2010-01-21