等張性収縮時の脳-筋ウェーブレットコヒーレンス解析(医・工学連携における新しい計測・解析技術開発への期待)

概要

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腕を上下に動かすといった運動は,多くの筋の協調運動でなされることはよく知られている.このような運動の遂行は多くの筋と脳の感覚運動野との複雑なコミュニケーションによってコントロールされている.このコミュニケーションは部分的には信号の振動という現象であらわれ,脳の運動野から発せられた筋への命令信号はある時間遅延をもって筋へ到達する.したがって,筋から記録された筋電図の中にその命令信号が含まれていることが示唆される.脳と筋とのコミュニケーションに関する研究として筋収縮の際,筋の長さが変化しない等尺性運動における脳-筋間コヒーレンスは広く研究が行われており,約15〜30[Hz]のβ帯域でC_3に限局した部位において,高い相関があることが確認されている.しかし,筋収縮の際,筋の長さが変化する等張性運動においての研究はあまり行われていない.そこで本研究では前腕を上下に屈曲させる等張性運動において脳と筋の同期的結合状態を,運動中の脳波と腕の筋電図とのウェーブレットコヒーレンス解析を用いて調べた.結果,腕を持ち上げる以前の-1.5秒〜-0.5秒にかけて,F_3,C_3,C_zの広範囲の部位において,15〜30Hzのβ帯域で相関がみられた.
2007-01-19