多次元複素離散システムにおける安定余裕限界の一導出法

概要

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多変数複素有理関数を伝達関数とする多次元離散時間システムが安定であるためには,分母多項式の零点が多重単位円板の閉包上に存在しないことが十分である.このような多項式を安定多項式と呼ぶ.最近,不安定多項式全体からなる集合への距離として定義される安定多項式の余裕限界に関し, Chui らは多重単位円板上に共通の零点を持つ不安定多項式の集合と安定多項式との距離が最小ノルム問題の双対問題の解として与えられることを示すと共に,安定多項式の余裕限界が多重単位円板の特殊境界面上における安定多項式の最小絶対値として与えられることを広義一様収束正則関数列の極限関数の零点分布に関する定理を用いて導出している.一方, Desage らは安定な一変数複素多項式から特定の零点を共通に持つ多項式集合への距離をラグランジユ乗数法を用いて導出している.小文ではまず与えられた多変数複素安定多項式から特定の共通零点を持つ多項式集合への距離を Desage らに習いラグランジュ乗数法を用いて導出する.更にこの距離を多項式集合の共通零点に関する関数とみなすことにより多変数多項式の安定余裕限界が多変数解析関数論の最大値の原理を用いて著しく直接的に導出可能となることを示す.
1996-12-13

多次元複素離散システムにおける安定余裕限界の一導出法

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