初期値予測を用いた動的輪郭モデルによる口唇輪郭の追跡

概要

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近年,口唇形状の理解は高次のコミュニケーション実現のための重要な課題となりつつある.筆者らは口唇動画像から音声を合成する画像入力マイクロフォンを提案しているが,処理上,形状変化が大きい口唇輪郭のより安定した追跡が重要となっている.一方,Kassらは輪郭の抽出・追従の手法として動的輪郭モデル(Snakes)を提案し,これを口唇輪郭追跡に適用している.しかし,口唇の動きは発声する音節により異なり形状が急激に変化する場合もあるため,安定した輪郭追跡は困難な場合が多い.また,ターゲットの変形や移動に対してロバストな特性を得るために,弾性輪郭モデルや予測輪郭を用いる手法スケールに応じて動的計画法の探索近傍を変化させる手法などが提案されているが,特有の動きで大きく形状が変化する口唇動画像にそのまま適用することは難しい.本稿では,次フレームの輪郭の概形を予測しそれを輪郭モデルの初期値として用いる手法に着目する.次フレームの初期値を予測するための一手法を提案し,形状が大きく変化する口唇の輪郭追跡に有効であることを示す.
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-03-11