統計的弛緩法による図形分節モデル

概要

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重なりをもつ図形を分解して解釈しようとする人間の視覚機能を心理学では図形分節と呼ぶ.図形分節を工学的に実現する場合に問題となるのは,重なり図形を構成する線分数に対して指数的に増える分節候補の中から,人間にとって自然な有限少数の分節候補をどのように選び出すかということと,どの候補をどれほどの割合で選ぶかということである.従来の研究においては,これら二つの問題を同時に解決する図形分節モデルは見出されない.本研究では,統計的弛緩法を用いて,分節候補を精度よく選択するばかりでなく,それらの選択比率も同時に推定する図形分節モデルを提案する.このモデルでは,人間の視覚特性に関する知識エネルギー関数として容易に問題に取り込むことが可能である.更に,複数の解を確率的に得ることができ,それらの出現頻度をもって選択比率とすることができる.また,実際に10枚の画像に対して計算機実験および100人の被験者による心理実験を行い,本モデルが人間が行う分節候補の96.8%を検出したことを示し,その有効性を確認した.
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-04-25