北海道北部中新世火山岩の広域変化とその成因

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千島弧と東北日本弧の会合部にあたる北海道北部には, 14〜9 Maの中新世火山岩類が広域的隆起運動をともないながら活動している。この火山活動と島弧会合部の形成テクトニクスとの関連性について検討した。これらの火山岩類は, 南北方向の配列を示しながら西から東に向かって, 中川, 歌登, 雄武, 北見の4つの火山列に区分される。中川と歌登地域の火山岩類は, 主としてカルクアルカリ系列の安山岩からなるのに対し, 雄武と北見地域では, 玄武岩, 安山岩とともに, 大量のデイサイト〜流紋岩が分布する。岩石化学的性質から, これらの中新世火山岩類は, インコンパテイブル元素に注目すると, 島弧横断方向の規則的変化は認められないが, 雄武火山列を中心としてアルカリ, P_2O_5に乏しい楕円形の分布域が南北に3つ並ぶ, この領域内には高いSr同位体組成 (>0.7040) を示す酸性岩が卓越し, 未分化玄武岩をともなっている。これらの火山岩類は, 初生マグマを最上部マントルから分離上昇させ, 地殻物質を溶融して大量の酸性岩を作ったマントルダイアピルに由来した可能性がある。歌登, 雄武, 北見地域の火山岩類には, 非島弧的火山岩であるアイスランダイト質火山岩と高Ti安山岩〜デイサイトが含まれる。以上の特徴を示す中新世火山活動は, 北海道北部で生じたユーラシアプレートとオホーツクプレートの衝突に, 太平洋プレートの沈み込みによる千島弧の衝突が加わった三重点会合テクトニクスに由来した可能性が強い。
日本地質学会の論文
1995-11-30

北海道北部中新世火山岩の広域変化とその成因

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