北海道北部,豊野層中の中新世アダカイト質火山岩のK-Ar年代と岩石学的特徴(<特集>北西大平洋縁辺地域の新生界)

概要

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北海道北部,興部町に分布する中新世豊野層火山岩について,活動年代と岩石成因的検討を行なった.本火山岩は安山岩〜デイサイトからなり,11.77±0.26MaのK-Ar年代を示し,北海道北部で生じた14〜9Maの大規模火山活動の一環とみなされる.本火山岩は,高いSr/Y,低いYで特徴づけられ,アダカイトに共通の性質を示す.また,高Mg安山岩に共通の性質も合わせ持つことから,スラブの部分融解によって生成されたマグマが,上昇する過程でマントルかんらん岩と反応して組成変化したと考えられる.豊野層火山岩は,地質層序,鉱物組み合わせ,全岩化学組成の特徴から,輝石・角閃石・斜長石を斑晶とするA-series火山岩と,角閃石・斜長石を斑晶とするB-series火山岩に区分される.A-series火山岩はより高いSr/Y比,低いSr,Ba,Pを示し,スラブの部分融解程度がより大きかったと推定される.本アダカイト質火山岩は,沈み込む古くて冷たい太平洋プレートが,アセノスフェアの上昇によって部分融解して形成された可能性がある.
地学団体研究会の論文
2003-11-25