児童の音楽構成活動におけるコミュニケーション
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概要
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本研究は,筆者がこの10年間5つの小学校で行ってきた50グループの創造的音楽づくりの事例をコミニュケーションの観点から分析する。最初バラバラの状態にあった子どもがいかにお互いの関連付けを計りながら曲を作っていくかを見ることによって,子どもの音楽構成活動におけるコミニュケーションの状況と意味を探ることを目的とする。コミニュケーションの場には大きくわけて(1)メンバー各自が自分の楽器なり持ち物をもって,みんなが共有できるものを求める場,(2)形成しつつある共有物を検討する場があり,両者は相互矢印の関係をもつ。前者は主に直接,音を媒介とし,「一緒に合わせる」「かけ合う」「つなぐ」などの形をとる。後者はことばを媒介とし,問題解決を内容とする。問題は「作品を整えたい」「作品に自分を生かしたい」という2つの欲求に支えられている。解決過程は生産的,分散的な思考という特徴をもつ。なお,ことばによるコミュニケーションの困難な子どもの場合も,音との根源的な交渉を通して他のメンバーとのコミニュケーションをもつことが可能である。The purpose of this study was to investigate the condition and the significance of communication in children's creative music-making.The data were gathered from 50cases of creative music-making in small group,5 elementary schools.Children are likely to connect themselves with one another in two kinds of the situations.One in the situation where all members are able to take their shares in a musical work as a common property.Another is the one where they discuss about the common property.In the former language is not an important medium of communication,but sound is so.And the communication has three types of its contents;(1)playing together,(2)playing in turn,(3)playing in succession based on a story.In the latter communication mainly through language consists of the problem-solving process.It is productive,divergent thinking.
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