問題解決学習としての音楽授業の特質と構造 -第III報神奈川県上大井小学校の実践分析を通して-

概要

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本稿は，子どもの創造的な問題解決過程を軸とした音楽授業を分析することによって，音楽の授業における問題解決学習の諸要因および諸要因間の関連を解明するという研究の第3報である。今回分析対象としたのは，音楽科の問題解決学習の実践研究に全校規模で取り組んだ神奈川県足柄上郡上大井小学校の実践である。日常的な授業として，子どもの問題解決過程をいかに指導過程に対応させて授業展開が考えられているかという点から，その実践分析を行った。授業展開は大きく3つの段階をたどる。①対象（教材曲）を知るために対象に即す活動，②知ったことをもとに表現の意図を形成，③対象を越えた創造，である。そして各段階において問題解決過程がスパイラル的に発展していくことが期待されている。このような展開の筋道は，第1報，第2報であげてきた「操作→イメージ→欲求・問題→探究操作」に一致している。そして，実際の創作の授業においては，個人的な楽器操作上の問題が，表現意図（イメージ）に対応させながら解決策が求められる中で，楽器編成，作品構成の問題へと広がっていくという共通問題の成立過程を認めることができた。さまざまな授業場面における子ども個々人の問題解決過程の関連の在り方をさらに探るのが今後の課題となろう。This is the third paper on the subject of determining the factors in Problem Solving approach to the music teaching-learning and clarifing the relationships of these factors.The purpose of this paper was to explain the developing phases of elementary music classes based on the idea of Problem Solving.The music classes at Kamioi Elementary School in Kanagawa were selected as the typical classes of Problem Solving.The process of the music classes at Kamioi had three stages;①the adaptation to know the music of the subject matter,②the formation of image on which children would express,③the creation beyond the subject matter.The process corresponded to the order of the factors in Problem Solving which were determined in my first and second paper on the same subject.The further problem would bo to construct and analyze the dynamic situation among the individual Problem Solving processes in the music class.

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