児童の音楽構成活動における学年的発達
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概要
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本研究の目的は,児童の創造的音楽作りにおける学年的な発達の諸相を,横断的アプローチによって探究することである。ここでは,創造的音楽作りを子どもと音楽的実在との相互作用のひとつの典型的な過程としてとらえる立場にたち,愛知県宮崎小学校および島根県澄川小学校の1年から6年までの全児童を対象に,創造的音楽作りの授業を行なった。そして音楽作りをめぐっての子どもの感じ方,考え方,表現の仕方を分析対象とした。その結果,音を流れとしてとらえる1年生,流れを起結をもつ小さいパターンにまとめる2年生,音に時間的推移の観点から順序づけをする3年生,時間的推移を場面(フレーズ)の集合ととらえる4年生,ダイナミクスの観点から作品の全体性をとらえる5年生,部分と全体の有機的関連の中で作品をとらえる6年生という曲構成の特徴を中心に,さまざまな学年的発達の様相が分析された。The purpose of this study was to investigate the developmental phases of creative making-music from 1st grade through 6th grade,which is a typical process of interaction between children and musical reality.To obtain data on children's creative thinking in the medium of sound,the following procedure was adopted.The plan of creative making-music devised by the investigator was administrated in grades 1-6 of two selected elementary schools(Miyazaki Elementary School,Aich and Sumikawa Elementary school,Shimane).These processes were observed,taped,videotaped,and transcribed in detail.The data include not only children's artworks but also their selections and judgements in manipulation of sound.In order to formulate the developmental phases of thinking in the medium of sound,the data were analyzed from four angles;(1)How do children organize sound composition?(2)What are they interested in as the intention and the basis of composition?(3)How do they recognize the structure and the meaning of their artworks?(4)How do they appreciate their friends' and their own artworks?
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