四重極型質量分析計を用いた過剰運動エネルギーイオンのマススペクトルを利用する金属中窒素,酸素の同時分析
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概要
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通常の質量分析法においては,窒素と一酸化炭素のスペクトルはm/e=2B,14において互いに重畳し,このため,両者の混合物の分析には連立方程式を解くか,十分な分解能を有する高価な質量分析計を用いなければならなかった.分子の開裂に際して生成するフラグメントイオンには過剰の運動エネルギーを持つイオンが存在し,これのみを測定すれば,窒素はN^+,一酸化炭素はC^+又はO^+のピークが互いに独立となる.市販の低分解能(m/e=28においてm/〓m=56)四重極型質量分析計を用い,イオン源部になんらの改造も行わずイオン加速電圧を低減させ各ピークの挙動を観察した結果,イオン加速電圧0V,ガス導入量3.6×10^<-2>ml(STP)以下ならばm/e=14のN^+ピークにCO^<2+>の影響が全く現れないことを確認した.これにより,真空融解抽出部と質量分析計を接続したガス分析装置を試作した.窒素及び一酸化炭素の検量線はともに3×10^<-2>ml(STP)まで極めて良い直線性を示した.この装置を用いて金属クロム,窒化クロム(Cr_2N)の昇温抽出曲線を測定した結果,金属クロム中に存在する窒素の大部分はCr_2Nとして存在し,その他に1570℃において抽出される他の形態の窒素も存在することが分かった.酸素に関しては,表面に弱く結合する状態のものの外,少なくとも3種の状態が存在することが分かった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1978-11-05
著者
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古谷 圭一
東京理科大学理学部応用化学科
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菊地 正
山口東理大基礎工
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土屋 正彦
東京大学工学部工業化学科
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土屋 正彦
東京大学工学部
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古谷 圭一
東京理科大学・理学部
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菊地 正
東京理科大学理学部
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富士 薫晴
東京理科大学理学部応用化学科
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古谷 圭一
東京理科大学
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菊地 正
東京理科大学 理学部
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