ラマンマイクロプローブによる環境粉じんの分析
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概要
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大気中の固体粉じんの解析にレーザーラマンマイクロプローブ分光法(MOLE)を用いて二,三の基礎的検討を試みた.この結果,高速道路トンネル内換気ダスト中にはα-二酸化ケイ素,炭酸カルシウム,炭酸カルシウムマグネシウム,正長石,黒鉛化した炭素(すす)の存在が同定でき,これらは主として土砂成分であることが推定できた.次にクロム酸ナトリウム合成過程における粉じんに関し,原料の未ばい焼及びばい焼クロム鉄鉱粉末とばい焼試料粉末をスライドガラス上で測定した結果,未ばい焼試料はクロマイト(Chromite) ,アクチノライト(Actinolite)系物質,α-二酸化ケイ素が観測され,ばい焼試料に関してはいずれも純粋な物質のスペクトルが得られず,クロマイト,クロム酸ナトリウム,クロム酸カルシウム,炭酸ナトリウム,炭酸カルシウムなどの混合物のスペクトルが得られた.又,検出波長を固定したイメージモードにおいても,いずれも特徴ある映像パターンを得ることができなかったことから,生成したクロム酸ナトリウムは一部クロム酸カルシウムとなっていることと,それらが炭酸ナトリウム,炭酸カルシウム結晶中に1 μm下の大きさで細かく分散して存在することが分かった.更に炭酸塩の(1074〜1088)cm^<-1>の三つの強いピークは炭酸ナトリウム,炭酸カルシウム,炭酸ナトリウムカルシウムの各々に対応じ明確に分離して検出されており,固体反応の追跡にも本法が有効に利用できることを示唆している.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1981-01-05
著者
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