石炭フライアッシュ浸出液中の元素及び陰イオンの定量(<特集>石炭利用と分析化学)

概要

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多様な石炭フライアッシュ(以下灰と略記)から溶出する元素及び陰イオンの実態と事前評価のための知見を得た.試料には,3種の微粉炭を2種の実験炉で燃焼して生成した10種の灰を用い,その溶出液中の25元素及び6種の陰イオンを,それぞれ誘導結合プラズマ発光分析法及びイオンクロマトグラフ法で定量した.溶出量が最も多かった成分は,カルシウムと硫酸イオンで,続いてアルミニウム,カリウム,マグネシウム,ナトリウム,ケイ素,ストロンチウム,フッ化物イオン,塩化物イオンであり,硫酸カルシウムの生成が推定された.又,ほとんどの成分がバッグフィルター灰でサイクロン灰よりも高値を示したが,カルシウム,銅,ナトリウム,フッ化物イオン,塩化物イオソ,硫酸イオンは顕著であった.溶出液のpH6〜12に対し,アルミニウム,バリウム,クロムは正の相関を,逆にマンガン,マグネシウム,コバルト,バナジウム,ニッケル,亜鉛,カドミウム,リンは負の相関を示した.又,液のpHを支配する因子,溶出元素のイオン種,灰中の未燃炭素の影響などについても考察した.
1985-05-05