粒径-密度分離による石炭フライアッシュの特性化(<特集>石炭利用と分析化学)
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概要
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多種多様な形態及び組成から成る石炭フライアッシュに関する特性化を行うためには,個々の粒子の性状に則した検討が行われなければならない.そこで特徴的な形態及び組成を有する粒子に各々効果的に分離することができる予備分離法が必要である.ここで粒径分離法としては通常行われている振動ふるい分け法と,それに比して静電効果により大粒子に帯電付着している微小粒子を効果的に分離できることが予想されたメタノール分散超音波ふるい分け法との比較検討を行った.この結果として,振動法に比してメタノール分散超音波ふるい分け法によると粒径の均一性が高く,又再現性の良い粒径5μmまでの分布が得られた.メタノール分散超音波ふるい分け法により得られた9種の粒径留分を各々,6種の密度留分に分割した.計54粒径-密度留分に対し,走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析装置を用いて形態分析を行った.又,高分解能蛍光X線分析装置を用いて硫黄の酸化状態別定量分析を行った.この結果から,粒径の減少に伴い高密度留分の割合が増加した.これは粒径の減少に伴い,中空球の存在割合が減少していること,及び鉄,カルシウムなど,その他の重金属元素が小粒径-高密度留分に濃縮していることを示唆しているものと考えられる.更に,硫黄は小粒径-高密度留分に濃縮し,硫黄・カルシウムのX線像からカルシウムと対応した微小付着物粒子として存在していることが認められた.同時に,高分解能蛍光X線分析によれば硫黄はほとんどが6価として存在していることから,それは硫酸カルシウムの微小付着物の形で多く存在していることが明らかとなった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1985-05-05
著者
-
古谷 圭一
東京理科大学理学部応用化学科
-
菊地 正
山口東理大基礎工
-
古谷 圭一
東理大理
-
古谷 圭一
東京理科大学・理学部
-
菊地 正
東京理科大学理学部
-
宮嶋 義洋
東京理科大学理学部応用化学科
-
古谷 圭一
東京理科大学
-
菊地 正
東京理科大学 理学部
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