対訳用例に基づく対話文翻訳における日本語生成方式
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概要
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近年、機械翻訳において、実際に人間が翻訳した対訳を模倣して翻訳を行う用例ベースの翻訳方式の研究が盛んに行われ、その有効性が報告されている。文法的な制約が弱く、しかも、決まり切った言い回しが多く現れる対話文の翻訳では、表層の表現をキーとした比較的浅い部分で変換を行う用例ベースの翻訳方式が有効であると思われる。この方式には、(1)人間が訳した正しい翻訳対を生に近い形で利用できる、(2)人間の翻訳処理に近い簡単な方法によって変換を行うため、ルールの開発・保守が容易である、等の長所がある。しかしながら、この方式を実際の対話文の翻訳に適用した場合、入力文と類似した文の対訳例を予め全て収集することが不可能であるため、部分的に類似した対訳例を組み合わせて翻訳を行う必要がある。このため、部分的な翻訳結果を文全体としての整合性をとり自然な文にするための機構が必要となる。本稿では、翻訳対象を「国際会議に関する問い合わせ」のような2者間で発話される対話文にしぼり、英日翻訳において、部分的に正しく変換された日本語表現を、文としての整合性を取り、自然な文として生成する方式について述べる。まず、部分的な表現を組み合わせただけでは、正しく生成できない例を示す。次に入力文を一旦、基本構造に変換することで、従属節と主節における主題や丁寧表現の違い、主語の省略といった文全体の構造を考慮した文生成が可能であることを示す。また、この生成方式をATRで開発中の対訳用例を用いた対話文翻訳システムに組み込んで、評価を行った結果を報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07
著者
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