Cephalosporium caerulens KF-140によるCeruleninの生産
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概要
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Ceruleninは秦らによって発見されたが抗カビ抗生物質であり, 特にSaccharomyces, Candida, Cryptococcus等の真菌類に強い抗菌作用を有し, 本物質の構造は (2S, 3R) 2,3-epoxy-4-oxo-7,10-dodecadienoylamideと決定された. 更に作用機作の研究から, 本物質は脂肪酸とステロールの生合成を特異的に阻害することも明らかとなった. 一方, 本菌株はceruleninと共にステロール系抗生物質であるhelvolic acidも生産する. しかし, 両物質共存下における分別定量法が確立されていないために, 両物質の培養中における生産の経過は明らかでなかった. そこで, それらの問題点を明らかにし, 目的とするceruleninが選択的に生産される培養条件を検討した. その結果, 両物質共存下において, ceruleninはCandida albicans KF-1を, helvolicacidはCorynebacterium paurometablum KB-121を試験菌とするpaper disc methodによって, 両物質とも25〜500 μg/mlの濃度範囲で分別定量可能となった. そこで, 以上の微生物定量法を用いて, 従来のcerulenin生産培地 (6% glucose, 0.5% peptone, 0.5% NaCl, 0.3% CaCO_3) での両物質の培養経過を求めたところ, ceruleninは培養48時間で, helvolic acidは36時間でピークに達し生産量はそれぞれ50 μg/ml, 350 μg/mlであった. 続いて, ceruleninが選択的に生産される培地組成を, 種々の炭素源, 窒素源, 無機塩について検討したところ, 1% glucose, 3% glycerol, 0.5% peptone, 0.2% NaClの組成の培地で, ceruleninの生産は培養48時間に240 μg/mlに達し, helvolic acidの生産は50 μg/ml以下に抑えることができた. また, CaCO_3,K_2HPO_4の添加は, ceruleninの生産を抑え, helvolic acidの生産を促すことが認められた.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1973-08-25
著者
-
大村 智
北里研究所
-
大村 智
School Of Pharmaceutical Sciences Kitasato University And The Kitasato Institute
-
山田 陽城
北里研究所東洋医学総合研究所
-
山田 陽城
北里大院感染:北里大基礎研:北里大生命研
-
岩井 譲
北里大・天然物機能研
-
秦 藤樹
北里研究所
-
粟谷 寿一
Kitasato Institute
-
秦 藤樹
The Kitasato Institute
-
岩井 譲
北里研究所
-
粟谷 寿一
北里研究所
-
今朝洞 忠孝
北里研究所
-
今朝洞 忠孝
北里研究所:北里大学
-
山田 陽城
北里研究所
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