既存のプログラムコードをマルチスレッド環境で実行する方式とその実現

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マルチスレッドは, 複数の処理を並行して効率良く実行させるための機構である.スレッド間の通信やコンテクストスイッチは, プロセス間のそれと比較して高速であることが知られている.しかし, マルチスレッドプログラムでは, 複数のスレッドが並行して同じデータ領域にアクセスする可能性を考慮する必要があるため, 単一スレッドを前提に書かれた既存のプログラムやチイブラリの大部分は, マルチスレッドプログラムの一部として利用することは容易ではなかった.本稿では, マルチスレッドの高速性を保ちつつ、この問題を解決する一手法を提案する.通常のマルチスレッドプログラムでは, 仮想アドレス空間にはただ1つのプログラムイメージ(実行ファイルをメモリ中に配置したもの)が存在し, すべてのスレッドがコードやデータを共有するが, 提案方式では, 仮想アドレス空間中に複数のプログラムイメージを配置し, それぞれのイメージごとに1つ以上のスレッドを動作させる.イメージ間でコードやデータはと独立しているため, 単一のスレッドのみが動作するプログラムイメージ内では, 既存のプログラムコードを変更せずに利用できる.実際にこの方式をUNIX上に実装し, 評価を行った.その結果, 既存のコードの利用が容易であること, 提案方式のスレッドは, 従来のプログラムのスレッドと同等の効率で動作すること等を確認した.
一般社団法人情報処理学会の論文
2000-09-15

既存のプログラムコードをマルチスレッド環境で実行する方式とその実現

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