重回帰分析を用いた演奏表現法の抽出

概要

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人間の演奏者が楽譜を用いて演奏を行う際には, 種々の『翻訳』作業をともなう. つまり演奏者は楽譜上に明示的・暗示的に記されてある演奏制御情報(以後, 楽譜情報と呼ぶ)を発見する(楽譜情報の例として分かりやすいものではスラーやp, fなどを想像していただくとよい). そして過去の経験や教育に照らし合わせ, また想像力をめぐらせ, 得られた情報に最も適切と思われる演奏表現を与えていく. ここに演奏家による個人差があるのは当然としても, 一定の規則性が存在することは容易に想像される. 本研究では, その規則性すなわち『演奏表現法』を重回帰分析を用いて抽出した. 本研究で提案する手法は以下の3点を可能にした. (1)楽譜中で用いられる場所が異なるため, 同じ演奏記号が異なった演奏表現を生み出すことがある. この現象を再現することができる. (2)抽出された演奏表現法が人間の演奏者に利用しやすい形態である. (3)特定の曲に特化するだけでなく, (年代・演奏者などでグルーピングされる)複数の曲に共通する特徴も抽出できる. これらは, 同種の研究に対してしばしば問題とされ, 要求されている. また本手法は音楽に限らず, 論理的条件で量を制御する問題について応用が可能である.
一般社団法人情報処理学会の論文
1997-07-15

重回帰分析を用いた演奏表現法の抽出

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