正常人脱落膜より得られた細胞系(TTK-1 cell lines)のヌードマウスへの移植実験

概要

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我々は正常人脱落膜由来の2つの細胞系、TTK-1(E)およびTTK-1(F)を約4年半、約40代継代培養している。これら2つの細胞系の性格を調べるために6週齢雌のヌードマウスに移植実験を試みた。その結果、TTK-1(E)では60%、TTK-1(F)では80%と高い腫瘍形成率を示した。腫瘍は未分化な細胞の充実性細胞集団から成り、細胞配宛は索状ないし腺癌様構造を示し、明らかに悪性像を呈した。光顕的、電顕的検索により、これらの腫瘍は明らかに移植された細胞系の細胞によって形成されたものであることが同定され、さらに2つの細胞系由来の腫瘍には類似点があるものの一方それぞれに特徴的な相違点が示された。これら2つの細胞系が移植によって明らかな悪性所見を呈する腫瘍を形成したことは、継代培養中に自然発生によるin vitro neoplastic transformationが起つたためと考えられ、子宮体癌発生の細胞レベルでの解明のために有用な実験モデルとなりうるものと思われる。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1984-11-01