Human menopausal gonadotropin投与下におけるヒト卵胞の性ステロイド生合成機能
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概要
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ゴナドトロピン治療の基礎的情報を得る目的からHuman menopausal gonadotropin (HMG)及びHMGとhuman chorionic gonadotropin (hCG)投与下のヒト卵胞のin vitroにおける性ステロイド生合成の実態を追求すると共に組織学的所見と比較検討した.婦人科疾患にて開腹予定の4名を選び,排卵直前と考えられる1名を対照とし,2名には1日150国際単位(IU)のHMGを夫々3日及び5日間連続投与し,さらに1名には1日150IUのHMG5日間に続いて10,000IUのhCGを投与した.手術時剔出した卵巣よりmicrodissectionにより卵胞をisolate, sodium acetate-1-^<14>Cを基質として3時間のincubationを行つた.ステロイドの分析はreverse dilution techniqueにて行い,組織湿重量1g当りの^<14>Cの取り込みをdpmで表わした.その結果, 1) ステロイド全体への総取り込みはHMG及びHMGとhCG投与例では対照例の約5分の1であつた. 2) 対照例では肉眼的にも組織学的にも排卵前胞卵の像を呈しており,estradiol-17β, estrone, 17-hydroxyprogesterone, pregnenoloneが主要産生ステロイドで,C_18ステロイドへの取り込みの百分比は41.3%であつた. 3) HMG単独投与例ではいずれも成熟卵胞の形態構造を備えていたが,対照例に比し顆粒膜細胞の増殖は軽度であつた.そして4-androstenedioneが唯一の主要産生ステロイドで40-50%を占めているが,C_18ステロイドの生合成も百分比にして20%程度認められた. 4) HMG+hCG順次投与例では顆粒膜細胞の著明な増殖と軽度の黄体化像,莢膜細胞層の充血と著明な黄体化像を認めた.主要産生ステロイドはestradiol-17βでC_18ステロイドへの取り込みの割合は33.1%と対照例のレベルに達していた. 以上の結果より負荷したgonadotropinの量や種類,投与型式によつて形態像が修飾され,それに伴つて性ステロイド生合成機能が変動することが明らかとなつたが,とくにヒト卵胞でのestrogen生合成には莢膜細胞と顆粒膜細胞の共存が必須であることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-01-01
著者
-
森 崇英
妊娠中毒症問題委員会
-
佐川 典正
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
森 崇英
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
鈴木 瞭
国立大阪病院
-
西村 敏雄
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
藤田 泰彦
広島大学医学部薬理学教室
-
藤田 泰彦
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
鈴木 瞭
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
村田 匡好
京都大学医学部産科婦人科学教室
-
鈴木 暸
国立病院機構大阪医療センター 産婦人科
-
鈴木 暸
和歌山県立医科大学附属病院紀北分院 産婦人科
-
村田 匡好
北野病院
-
村田 匡好
京都大学医学部医化学教室
-
藤田 泰彦
京都大学医学部動物実験施設
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