妊娠個体の昇圧物質に対する反応性と腎および子宮血流量変動ならびにindomethacin投与の影響について
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概要
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妊娠時には昇圧物質投与に対し比較的な不応性が生じるが,妊娠個体の昇圧反応性と昇圧の際の腎血流量(RBF)および子宮血流量(UBF)の変動を観察し,これらの反応性調節へのprostaglandins(PGs)の関与につき検討する目的で,非妊ならびに妊娠末期イヌにangiotensin II(A II)またはnore-pinephrine(NE)のそれぞれ5段階量を投与して昇圧反応を比較するとともに,妊娠イヌではPGs生合成阻害剤であるindomethacin(IDM)投与の前後で昇圧反応,RBFならびにUBFの変動を比較検討して下記の結果を得た.1)妊娠時には昇圧物質とくにA II投与に対する昇圧反応性の減弱がみられ,A II 0.1μg/kgの静脈内投与による昇圧反応は非妊時の62.2%にとどまり,イヌが妊娠時にみられる昇圧不応性の実験モデルとして有用であった.この際,RBFは減少し,UBFもNE投与に対して容量依存性の減少を示すが,A II投与に対してはO.05μg/kg投与時をpeakとする増加を示した.2)妊娠イヌヘのIDM 5mg/kgの投与によって,平均動脈血圧には有意の変動が起らないが,RBFで10.0%,UBFで24.2%の減少がみられた.3)妊娠イヌにおけるIDM投与後のA IIまたはNEに対する昇圧反応は投与前に比し増強を示し,RBFの減少度も増強した.しかしUBFのdoseresponse curveには著変がみられず,子宮血管抵抗の変化率もNEの最大投与量投与時を除いてIDM投与前と有意差はなかった.以上より妊娠個体における昇圧不応性の成立と,RBFおよびUBFの維持機構の要因としてPGsが関与しており,腎血管床の昇圧物質反応性に対しても系統循環系と同様にPGsが抑制的に働いていることが判明したが,妊娠子宮血管床のA IIに対する反応性へのPGsの関与は少なく,この反応性を抑制している他の要因の存在が推測された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-12-01
著者
-
松浦 俊平
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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佐川 典正
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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久保 嘉士郎
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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三田 喜雄
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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玉井 垣夫
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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