著明な好酸球浸潤を伴った子宮頚癌の臨床病理学的検討

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子宮頚癌病巣の周辺には稀に著明な好酸球浸潤を伴うことが報告されている. 今回, 当科における子宮頚癌手術例474例の摘出標本を再検討し, 著明な好酸球浸潤を有する頚癌症例の発生頻度とその臨床病理学的な特徴を検討した. 子宮頚癌474例のうち, 好酸球浸潤著明例は8例 (1.7%)に認められ, その年齢は28〜48歳でいずれも月経周期を有する症例であつた. 臨床進行期はIb期1例, IIb期7例で, 摘出標本における腫瘍の広がりは頚部の深さ2/3以上に浸潤しているもの6/8例, 基靱帯浸潤陽性のもの4/8例と局所的に進行した症例が多く認められたが, いずれにも再発は認められていなかつた. 組織学的には, 腫瘍病巣周辺に著しい好酸球浸潤が観察され, 更に4/8例にはリンパ節内にも好酸球浸潤が認められた. 腫瘍の組織型は1例は未分化癌, 7例はlarge cell non-keratinizing typeの扇平上皮癌であつた. しかし, 詳細に検討すると4例ではPAS染色, Alcian-blue染色陽性を示す部分が観察され, 電顕的に検討した2例中1例でも混合型癌の性格を有することが示唆された. また, 免疫組織学的にヒスタミンの局在をみると, 好酸球浸潤著明例では対照群に比し, 病巣周辺のヒスタミン陽性の mast cellの分布は極めて少なく, mast cellを介さない好酸球浸潤のメカニズムの存在が示唆された. すなわち, 著明な好酸球浸潤を伴う頚癌は, 比較的若年の女性に多く, 局所的に進行した癌であり, 更に腫瘍細胞は混合型癌の性格を有するものが多く, 子宮頚癌の中でも一つのentityを形成しうる腫瘍と考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-07-01

著明な好酸球浸潤を伴った子宮頚癌の臨床病理学的検討

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