Estrogenの長期間投与で生じる多発性腹膜下腫瘤の組織学的検討

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Estrogenを長期間, 大量にモルモつトに投与すると, 腹腔内に多発性の腫瘤が発生するとされている.近年, この実験腫瘤と子宮筋腫の特殊な病態の一つであるLeiomyomatosis Peritonealis Disseminata(LPD)との類似性が言及されるようになつた.しかし, この実験腫瘤の構成細胞は三光学頭徴鏡学的に線維芽細胞ではないかと考えられており, 一方, LPDは電子顕微鏡学的な検討が加えられるにつれて平滑筋が構成細胞であるとする説が有力となつてきた. そこで, 臨床上の見PDと実験腫瘤の類似性を論じるには, 実験腫瘤を超微細形態学的に検討することが必要であると考える.従つて, 成熟雌モルモつトに卵巣切除群と非切除群を作成し, estradiol benzoateを40, 80, 100, 200μg/day, 週3固筋注を2〜9ヵ月間行い, コントロールとしてestradiol benzoateの溶剤投与群と無処蟹群を作成した.結果は, estradiol benzoate投与群ではすべての投与最で3ヵ月間以上処置すれば, 100%の発症率で腹腔内の子宮体部漿膜面, 腹膜、大網, 腸問膜, 膵臓および脾臓の表面にLPDに類似した多発性の腫瘤形成を認め, コントロール群ではこうしたものは観察されなかつた.組織学的には, すべての腫瘤が一層の腹膜上皮で覆われており, 腹膜上皮下の間葉が増殖して腫瘤を形成したものと考えられ, 電子顕微鏡学的た検討で, 線維芽細胞に類似の細胞が構成細胞と考えられた.このestrognによる実験腫瘤の発生形態は, 臨床上のLPDと極めて類似しているものと考えられたが, 構成細胞の点で両者に差異が認められた.従つて, LRDにおげ一る腫瘤の中の平滑筋の由来は, estrogen単独投与の実験系では不可能であり, この点に関して更に新たた検討が必要であると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-02-01

Estrogenの長期間投与で生じる多発性腹膜下腫瘤の組織学的検討

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