子宮に発生したmunerian adenoibromaの組織学的検討
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概要
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子宮に発生するmixed mullerian tumorの中で,上皮成分・間葉成分がともに組織学的に良性所見を示すmullerian adenofibromaは,報告がきわめて稀である.我々は子宮体部より発生した本症を経験し,光顕及び電顕的検討を行った。腫瘤は,組織学的には多数の連続した分枝をもつ腺管様構造をとる上皮成分と,これを囲む細胞密度の高い間葉成分がみとめられた.間葉成分を構成する線維芽細胞様細胞には,1〜2/highpower fieldsの核分裂像がみとめられたが,核の異型性やheterologous elementsは観察されず,組織学的に良性と考えられたことからmullerian adenofibromaと診断された。電子顕微鏡による観察では,上皮成分は単層円柱上皮で構成され,比較的良く発達したmitochcondria,粗面小胞体,tonofiamentsを有し,腺腔に対しては短いmicrovilliまたはciliaが観察された.これらの所見は増殖期子宮内膜の微細構造に類似していると考えられた.一方,間葉成分としては,豊富なコラーゲン線維とともに線維芽細胞様の紡錘形細胞と,細胞質の一部にdensebodiesを伴うfiamentsを有し平滑筋への分化が示唆される紡錘形細胞が観察された.Mullerian adenofibromaの組織学的所見や微細構造は,臨床的に悪性経過をとることの多いmulleriana denosarcomaのそれとよく類似していると考えられ,両疾患がmixed mullerian tumorの中でも共通のspectrumの中に存在する可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-01-01
著者
-
藤井 信吾
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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小西 郁生
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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鈴木 瞭
国立大阪病院
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岡村 均
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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岩井 正純
京都大学医学部分子病診療学教室
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川口 周利
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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川口 周利
北野病院
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鈴木 瞭
京都大学医学部婦人科学産科学教室
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鈴木 暸
国立病院機構大阪医療センター 産婦人科
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鈴木 暸
和歌山県立医科大学附属病院紀北分院 産婦人科
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岩井 正純
北野病院産婦人科
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小西 郁生
京都大学医学研究科 婦人科学産科学
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