幼若ラット誘発排卵過程におけるプロゲステロン依存性ステップ
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概要
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排卵の成立にプロゲステロンが関与しているというわたくしどもの検討成績に引続き,本研究では排卵過程のうちどのステップがプロゲステロンに依存しているかを明らかにすることを目的とした.方法としては特異性と力価の高い抗プロゲステロン抗血清(anti-Prog)を用い,種々の条件下で幼若ラット誘発排卵反応におよぼすanti-Progの影響を検討した.22日齢の幼若ラットにPMS 5単位皮下注,56時間後にhCG10単位を静注,その18時問後に卵管内の卵数を算定し,平均排卵数で排卵反応を評価した.この実験系を用いて,以下の成績を得た.1)種々の量のanti-ProgをhCGと同時に投与すると,平均排卵数は用量反応的に減少し,1.2mlで排卵反応はほぼ完全に阻止された.2)抑制実験ではhCGと同時投与で完全に排卵を抑制する充分量(1.2ml)のanti-Progを,hCG投与から遅らせ,1.5, 3, 6, 9時問後に静注すると,対照群に比し排卵反応は3時間までの投与ではほぼ完全に,6時間では不完全ながら有意に抑制された.しかし9時間後の投与ではもはや抑制効果はみられなかった.3)回復実験ではhCGと同時に1.2mlのanti-Progを投与して排卵反応を抑制しておき,その1.5,3, 6, 9時間後に90μgのプロゲステロンを補充したところ,3時間まではほぼ完全に,6時間では不完全ながら有意に回復したが,補充の時間が遅れるにしたがって回復効果は減弱し,9時間の補充では排卵反応の回復が不可能となった.以上の成績より,排卵抑制実験からはhCG投与後6時間まで排卵成立にプロゲステロンが必要なこと,回復実験の結果からはhCG投与後6時間以降では排卵成立にプロゲステロンが不必要であることが判明した.このことから,ラット誘発排卵実験においては排卵過程前半期であるhCG投与後6時間までがプロゲステロン依存性ステップであることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-02-01
著者
-
野田 洋一
滋賀医科大学 消化器外科
-
野田 洋一
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
神戸川 明
帝国臓器薬理研
-
森 崇英
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
鈴木 瞭
国立大阪病院
-
江崎 洋二郎
国立大阪病院産婦人科
-
神戸川 明
帝国臓器製薬株式会社薬理研究部
-
西村 敏雄
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
林 清士
京都大
-
島田 逸人
京都大
-
高井 一郎
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
甲田 平吾
静岡市立静岡病院産婦人科
-
鈴木 瞭
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
鈴木 暸
国立病院機構大阪医療センター 産婦人科
-
鈴木 暸
和歌山県立医科大学附属病院紀北分院 産婦人科
-
甲田 平吾
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
江崎 洋二郎
京都大学医学部婦人科学姥科学教室
-
島田 逸人
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
林 清士
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
高井 一郎
京都大
-
江崎 洋二郎
国立大阪病院
-
神戸川 明
帝国臓器薬理研究部
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